三方よしの精神と言う話。
某アパレルメーカーが、炎上しています。
発端は、先日放送された『ガイアの夜明け』での、海外からの技能実習生制度を悪用した縫製工場で製品を作っていたにも関わらず、実習生からの抗議に対し、自分たちには法的責任がないと突っぱねたことです。孫請けの会社とは言え、道義的な責任はあると思います。
問題の縫製工場は、時給にすると400円で実習生を働かせ、未払いの残業代を求められると会社を計画倒産させ、合法的に残業代の支払いから逃げています。その会社の社長は、すぐに別の名前で新たな会社を設立し、仕事は続けていたようです。
技能実習生でも、働いていた会社が倒産した場合、給与の80%(?)を救済する制度があり、やがて彼らはビザの期限が切れると国へ帰ってしまいます。
まさに制度の悪用です。
現在、日本の最低賃金は、地域別に差はあっても700円以上です。同じように日本で働いているにも関わらず彼らの賃金は、300円も低い訳です。
このアパレルメーカーも、孫請けの縫製工場も、短期的に利益は上がると思いますが、長期的に考えたとき、会社として、社会として大きな損失になるのではと危惧します。
技能実習生として来日した中国やベトナムの消費者がやがて裕福になったとき、安く使われたこのアパレルメーカーの製品や日本製品は購入しなくなるからです。何より今はインターネット時代。悪い評判は、世界中に拡散されます。
既に、このアパレルメーカーは、ネット上で炎上し社会的な制裁を受けています。不買運動が発生してもおかしくないレベルです。
かつて、マイケル・ムーア監督の『ボーリング・フォー・コロンバイン』と言うドキュメンタリー映画で、乱射事件を起こした弾のほとんどを、大手スーパーマーケットのKマートで購入していたことが判明します。ムーア監督と被害者がKマートに出掛けて、銃弾の販売を停止するように交渉します。
結果、Kマートが全ての店舗で銃弾の取り扱いを中止しました。
自分だけの利益を考えない、アメリカ人の心意気を見た気がします。
近江商人に三方よしと言う言葉があります。売り方よし、買い方よし、世間よし。 売る側である会社や従業員、買う側である消費者、そして社会にとってもwin-win-winでなければ、やがてその会社は続かないのでは、とつくづく思います。