みんなと同じという中流幻想の罠。
内閣府の調査によると国民の9割が自分は中流と思っているとネットの記事で見かけました。その内閣府のデータはどれなのか探してみました。
内閣府の平成28年度国民生活に関する世論調査のQ7『生活の程度』に該当の質問がありました。
質問は、
===以下、引用===
http://survey.gov-online.go.jp/h28/h28-life/3_chosahyo.html
Q7〔回答票8〕 お宅の生活の程度は,世間一般からみて,どうですか。この中から1つお答えください。
(1.3) | (ア) | 上 |
(12.3) | (イ) | 中の上 |
(56.6) | (ウ) | 中の中 |
(23.2) | (エ) | 中の下 |
(4.8) | (オ) | 下 |
(1.8) | わからない |
===引用終わり===
CSVをダウンロードしてグラフにしてみました。
一言で、中と言っても、中の上、中の中、中の下と3段階あります。
総数から分かるのが、圧倒的に多いのが中の中、次いで中の下、中の上と続きます。これは地域を問わず同じ傾向です。
男女別です。男性の方が僅かに中の下と下が増えています。
年齢別では、60-69歳で中の下が増えています。恐らく定年退職し年金生活に入った世代で可処分所得が減ったことにより中の下が増えていると推察できます。70歳以上は中の中が増えています。
違いが出たのが、従事している地位や職業です。概ね、管理職・専門職、そして学生が中の上が突出しています。
中の上と答えた学生は、子供の6人に一人が貧困層と言われる客観的な事実を考えると親が子供にお金の心配をさせていないか、比較的余裕のある層なのかも知れません。
雇用形態では、役員が上、中の上を合わせて36.5%と突出していますが、非正規でも中の中が半数以上54.1%を占めています。
男性の雇用形態の無回答が下の割合が11.1%と高いのは、無職、求職中である可能性が高いと考えられます。
しかしながら正規雇用の人も非正規雇用の人も、そして無回答の人も約半数以上が世間一般から見て中の中と考えています。
つまり、日本人の半数は自分の生活を中の中と考えているのです。
恐らくその理由として考えられるのは、質問の『お宅の生活の程度は、世間一般からみて、どうですか。』の世間一般とは世間全体ではなく自分のいま置かれている自分基準の物差しなので、中の中がほとんどを占めるのだと思います。
そんな中でも中の下、下を選択した方は恐らく、生活が厳しい状況なのだと思います。
年収が下がり続けている日本で、中の中だと思っている間に日本全体が限りなく貧しくなっているのではないか、心配になります。