かつての役員Aさんのこと。
先日、元上司と元同僚と都内の飲食店で飲み会を開いていたとき、隣のテーブルに、偶然にも、その会社の役員だった方(Aさん)がいらっしゃいました。テーブル間は、ロールスクリーンで隔てられており、最初は気が付かなかったのですが、元上司が、隣にいるのはAさんだと気が付いたのです。
米国に本社のあったその会社は、何度かの合併を繰り返し、あれよあれよと言う間に大会社に生まれ変わっていきました。そんな激動の中でも、彼は、ポジションを失う事なく、部門を統括するトップを守り続けていました。
直接の面識は無かったものの、名前だけは、よく覚えていました。
帰り際、ご挨拶をしたのですが、退職後は、多くの会社の顧問を歴任され、ご自身の会社も立ち上げられているとの事でした。
外資では、M&Aは良くある話です。買収される側になることも、買収する側になることもあります。買収は、会社だけではありません。投資ファンドによって買収されることだってあります。(経験あり)
共通して言えることは、買われる側だろうが、買う側だろうが、買収先が投資ファンドだろうが、M&A交渉は秘密裡に行われ、社員は発表の当日に知らされることになります。
そして、、その後、容赦のないリストラが実行されます。会社として機能している別々の法人が、一つになる訳です。重なる部分は、どちらか一方が選択され、選択されなかった人や部門は、社内、もしくは社外にポジションを見出すしかありません。
何人もの上司や同僚が、ポジションを失うのを見てきました。もちろん、表向きは希望退職ですが、ある日突然、自分のポジションが無くなる訳です。
人だけではありません。社内システムやオペレーションもやがてマージされます。当然、これまでやって来たやり方が正しいと社内のあちこちで対立が起きます。
そんな混乱の中、幾度のM&Aにも関わらず、ポジションを守り通したAさんは、やはり凄いと言わざるを得ません。
頂いたメールの返信に、楽しんでください、とありました。
怒涛の混乱期も、Aさんは自分の置かれた環境を楽しんでいたのではないかと思います。